一般財団法人 日本環境衛生センター

アジア大気汚染研究センター

Asia Center for Air Pollution Research (ACAP)

大気汚染

※ 本記事は小学生を対象としています

大気汚染とは

「大気」とは空気のこと、「汚染」とは、汚れること、つまり、大気汚染とは、空気が汚れる、という意味です。
私たちがいつもすっている、とても身近にある空気が、汚れてしまうことはとても深刻な問題です。
それではなぜ大気が汚れてしまうのでしょうか。大気が汚れる原因を順を追って見ていきます。

大気が汚れる原因

大気汚染の原因として代表的なものに、工場の煙があります。
もくもくと煙突からでている黒い煙はみるからに体に悪そうですね。

次に代表的なものに、車の排気ガスがあります。
車がたくさん通っているところにいって咳き込んでしまった経験はありませんか?

トラックから出る「すす」(電子顕微鏡写真)

右図はトラックなど大きな車からでてくるススを、顕微鏡で大きくしたものです。スス1粒の大きさは5万分の1ミリメートル、それは、1ミリの5万分の1の大きさです。これらはPM2.5の仲間の一つです。

PM2.5とは、2.5マイクロメートルより小さい粒のことを言います。

自然界からの粒子やガス

大気汚染の原因になるものは、工場の煙や、車の排気ガスだけではなく、他にもあります。それは実は、自然の中で起きています。
たとえば、花粉や火山灰、砂ホコリ・土埃も大きな粒となって、大気をよごしてしまいます。
さらに身近なところでは、料理中も、クッキングスモークと呼ばれる煙や、ガスが発生し、大気を汚しています。

アジアからやってくる汚染物質

アジアの国々から出てくる工場の煙や自動車の排気ガスなどが、西からふく風にのって、海をこえて、日本までやってきます。こうして自分の国の空気が外国の空気でよごれてしまうことを越境汚染(えっきょうおせん)といいます。

煙に含まれるガスは、移動中に集まって小さな粒(PM2.5など)になったり、
光のエネルギーで反応して、性質の違う別のガス(オゾンなど)になったりします。

例えば、石炭を燃やしている工場の煙には、二酸化硫黄(にさんかいおう)というガスが含まれていますが、このガスが移動中に硫酸(りゅうさん)の粒になったりすることがわかっています。硫酸は、PM2.5にも含まれています。
またこの硫酸が雨に溶けると、次に説明する酸性雨(さんせいう)になります。

大気が汚れる原因

以上のように大気を汚すもののことを、大気汚染物質と言います。
工場の煙や車の排気ガス、それから、自然界の火山灰や花粉などがありました。
料理中にでてくる煙やガスといった身近なものもありましたし、
いろいろな種類がある大気汚染物質ですが、この後も空気中に残り続けるわけではありません。

大気汚染物質が地上に落ちてくる

空気中に漂っていた大気汚染物質が地上に落ちてくるまではいくつかのルートがあります。
風にのってとおくに運ばれたり、大きい粒はそのまま落ちてくることもあります。
それから、雨つぶと一緒に落ちてくることもあります。
専門的な話になりますが、PM2.5などの粒の周りに、先ほど出てきた硫酸などの酸性の粒がくっついて、雨粒と一緒に地上に落ちてくる。
これを酸性雨といいます。

ACAPのとりくみ

以上のような、「酸性雨を含む、大気汚染」改善のため、ACAPはさまざまな研究に取り組んでいます。

新潟市西蒲区にある、国設新潟巻酸性雨測定所と言います。
ACAPは、PM2.5などの大気の観測、
雨や大気の中に含まれる汚染物質の分析、森林の中の土や木、それから川の水の調査、
また、観測データに間違いがないかのチェックなども行っています。

大気汚染の改善のためアジア全体で取り組む

アジアの国々の発展とともに、アジアの大気汚染の状況は悪くなっていましたが、アジア13カ国と協力して観測や研究を行い、アジア全体で大気がきれいになるようにがんばっています。