一般財団法人 日本環境衛生センター

アジア大気汚染研究センター

Asia Center for Air Pollution Research (ACAP)

2011.09.15 その他

酸性雨研究センターからアジア大気汚染研究センターへの名称変更(2010/6/30)

新しい時代のアジア大気汚染研究へ向けて!

所長:秋元 肇

 アジアにおける大気汚染研究は,今新しい時代に入ろうとしています。まず第一にアジアにおける主要な大気汚染物質の排出量は、前世紀の末までにヨーロッパや北米の排出量を凌駕し、今世紀に入ってからも少なくとも今後20年間は増加し続けるだろうと予測されています。排出量のこのような増加はアジアの多くの地域で都市及び領域規模の深刻な大気汚染を引き起こし、さらには半球大気汚染・グローバル大気汚染に大きな影響を与えています。

 都市や領域規模の大気汚染を軽減し、半球大気汚染を抑制するために,私たちはアジアの多くの地域での大気汚染現象を解明し、大陸間輸送や半球輸送も視野に入れて越境大気汚染を定量化するという研究テーマに責任を負わされています。更に、大気汚染と気候変化を同時に軽減する共便益・共制御アプローチに沿った政策を実現する可能性を期待して,大気汚染・気候変化相互作用の研究が重要な課題になりつつあります。

 こうした状況の下で、私たちの大気汚染研究には、オゾン、エアロゾル、酸性化、富栄養化、気候変化関連研究などが含まれることをはっきりさせるために、私たちは研究所の名称を酸性雨研究センター(ADORC)からアジア大気汚染研究センター(ACAP)へと変更致しました。

 ヨーロッパや北米に比較してアジアの大気汚染研究分野では、科学的認識を各国の研究者が共有するという意味での科学認識共同体の形成が遅れていますが、私は東アジア各国で経済成長に伴ってこの分野の研究の機運が高まっている今こそ、この地域においてこうした共同体を確立する良いタイミングだと考えています。東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)のネットワークセンターとして、私たちはこうした認識共同体の確立に努力し、EANET共同体の国際的な連携を活性化させることによって、EANETの強化に貢献したいと考えています。