1.酸性雨モニタリングの実施
ナショナルモニタリングプランの作成及び必要に応じた見直し*、共通の手法を用いた酸性雨モニタリングの実施
注)*印は参加国が実施する活動
東アジア酸性雨モニタリングネットワークによる酸性雨モニタリングは、「湿性沈着」、「乾性沈着」、「土壌・植生」、「陸水」及び「集水域」の5項目の内容からなっています。このうち湿性沈着及び乾性沈着モニタリングは、地上に沈着する降下物(雨・雪・ガス・エアロゾル等)中の酸性成分等の濃度や量を把握するものであり、土壌・植生、陸水及び集水域モニタリングは、森林や湖沼等の生態系に及ぼす影響を把握するためのものです。
ナショナルモニタリングプランの作成及び必要に応じた見直し*、共通の手法を用いた酸性雨モニタリングの実施
モニタリングデータのネットワークセンターへの提出* データの収集・評価及び年次データ報告書の発行、定期的状況評価報告書の作成及び発行、インターネット等を通じた関連情報の一般への提供等
QA/QCガイドブック等技術文書の作成・改訂、標準作業手順書(SOP)の作成*、分析機関間比較調査の実施
技術ミッションの派遣、ネットワークセンターによる個別研修や参加国における国内研修の実施*、既存研修プログラムの活用(国際協力機構(JICA)等)、他の機関との協力プログラムの実施、専門家の派遣等
参加国のQA/QCの確認
技術ミッション(タイ)
2018年度個別研修
科学諮問委員会 (SAC)
上級技術管理者会合 (STM)
より優れたモニタリング手法、生態系及び健康への影響、排出インベントリ及びモデル等に係る調査研究の推進等
ニュースレター等のウェブサイトを通じた情報発信、政策立案者のための報告書及び学生・市民等のための啓発冊子の作成、関係者等が参加する普及啓発ワークショップの開催等
欧州や北米等他地域を含む関係国際組織・機関との情報交換・連携等
EANETの重要な決定事項や様々な成果等を含むEANETの政府間会合(IG)、科学諮問委員会会合(SAC)等における議論の内容は、会合実施後にその都度EANETウェブサイトに掲載されています。
東アジアの酸性雨モニタリングガイドライン・技術マニュアルは、科学的技術的知見を踏まえ、2000年3月の第2回EANET暫定科学諮問グループ会合において採択され、本格稼働に用いられてきました。その後一部見直しと最新化が行われるとともに、乾性沈着量積算マニュアル等新たな技術マニュアルも作成され、活用されています。EANETモニタリングの基本方針を定めた戦略ペーパーについては、乾性沈着モニタリング及び生態影響モニタリングに関して2005年及び2002年にそれぞれ発行され、5年毎に見直しが行われ、その都度公表されています。また、酸性雨(湿性沈着)、土壌及び陸水モニタリング並びにデータ処理等に関する研修教材もネットワークセンターにより作成され、活用されています。
試行稼動期間の経験を踏まえ、EANET参加国のモニタリングに関する問題点の整理及び東アジア地域での更なるモニタリン方法の改善に向けての必要な事項等を記述したEANET試行稼動におけるモニタリング状況報告書は2000年10月の第2回EANET政府間会合で採択され、発行されました。
EANET参加国から提出されたデータを基に、科学諮問委員会で採択された年次データ報告書がネットワークセンターにより2001年から毎年発行されています。なお、個別データについては、その公開規則に基づき、取得のための申請手続を経て公開されることになっています。
EANET活動の開始当初は各技術マニュアルに包含されていたQA/QCに関する事項を一括取りまとめるとともに、参加国が毎年作成するナショナルモニタリングプランの記載方法等をも含むEANET精度保証・精度管理ガイドブックが2016年の科学諮問委員会で採択され、発行されています。
EANETの精度保証・精度管理(QA/QC)活動の一環として、参加分析機関における分析レベルの向上を図るために、模擬試料(湿性、乾性、土壌、陸水)を使用した分析機関間比較調査が毎年行われており、その結果は、ネットワークセンターによりその都度公表されています。
PRSADは、地域版、国別版及びエグゼクティブ・サマリーから成り、東アジアにおける酸性雨の状況を取りまとめるとともに、その状況を評価し参加国や他地域に向けて公表するもので、5年毎に科学諮問委員会により作成されています。これまで3回、2006年、2011年及び2016年に発行されています。
RPMは、EANET参加国の政策立案(決定)者に対して、東アジアにおける大気環境の現状や将来予測、個々の参加国に対する地域としての大気環境の改善を含め可能な対応策の提案等に焦点を当て、最新情報を提供することなどを目的に政府間会合の承認を得てEANETが発行している冊子の1つで、4-5年に1回程度作成されていて、これまで2005年、2009年、2014年に発行されています。
EANET科学紀要は3年に1回程度発行されていて、EANETフェローシップ研究及びネットワークセンターの参加国との共同研究の成果に係る研究論文や事業実施状況等に係る報告書、EANETデータを利用したEANET参加国の研究者による研究論文、EANETに関連する研究論文の抄録等を取りまとめ出版しているもので、これまで2008年、2011年、2013年及び2016年の4回発行されています。