一般財団法人 日本環境衛生センター

アジア大気汚染研究センター

Asia Center for Air Pollution Research (ACAP)

2020.09.07 研究活動

第61回大気環境学会年会(2020年9月14日(月)~10月4日(日))において、アジア大気汚染研究センターの研究員が発表

第61回大気環境学会年会(2020年9月14日(月)~10月4日(日)、誌上開催)において、アジア大気汚染研究センターの研究員が発表します。発表概要は以下のとおりです。

学会名 第61回大気環境学会年会
開催日 2020年9月14日(月)~10月4日(日)
開催場所 誌上開催

 

名前 演題 概要
箕浦宏明朱美華、 岡山紳一郎、渡辺宏江 ビッグデータを活用した中国の地域別O3汚染の特徴解析 (FFT/Cluster解析) NOタイトレーションによるO3濃度の低下は、産業構造の特徴と関係がある。中国北京・天津・河北省119局の年間大気汚染1時間値をクラスタ解析し、分類した群のパワースペクトルの特徴を比較。北京等大都市群は、12、24、168時間のO3濃度スペクトルが高く産業活動に起因、西部の清浄小都市群は、3ヶ月の長周期が卓越しBVOCや季節に変化する排出影響を示した。FFT解析は、排出活動と密接な関係を示した。
箕浦宏明 HYSPLIT流跡線解析による北東アジア影響 その2 年間のHYSPLIT流跡線解析より、北京、ソウル、釜山と日本近いほどピーク濃度が高く、暴露時間が短い研究成果を一昨年報告した。釜山より1時間出した汚染物質は、12時間国内地域に滞在するが、北京からは、高濃度が3日程度継続し疑問であった。その後の詳細解析より、寒冷前線に誘導され短時間に輸送された最初の気塊に対し、その後は低気圧を回り込んで輸送されるために到着が遅くれることが明らかとなった。
箕浦宏明、丹下健、王丕维、欧健 ディーゼル市バスのNOx real world emission調査 (OBD調査結果) 昨年報告に続き、中国厦門市のディーゼル排気を運転状態から調査するため、OBDを10台の市バスに装着し1ヶ月計測した。運転手は、10名ともほぼ同じ車速・加減速で運転したが、加減速の頻度は大きく異なった。加減速が多く低車速の渋滞時に、高いNOx排出量となる昨年報告に対し、RPAがNOx 排出とより高い相関で、アクセルペダルの踏み方が大きく影響していることが明らかとなった。LNG市バスの実験にも言及する。
佐藤啓市、開田有葉、高橋司霍銘群箕浦宏明松谷亮弓場彬江二見真理桐山悠祐長谷川真梨子小竹佑佳、中田誠 日本海側郊外測定局における有機マーカー観測とPM2.5発生源解析 新潟市の郊外測定局において2018~2019年にPM2.5の季節別集中観測を行った。発生源指標となる有機マーカー分析を行い、他のPM2.5成分についても日平均濃度の季節変動および地域特徴を明らかにした。レセプターモデルを用いて、日平均濃度の変動を解析することで、二次生成、自動車排ガス、バイオマス燃焼等発生源因子と各因子のPM2.5寄与濃度、長距離越境輸送およびローカル起源等の寄与割合を算出した。
佐藤啓市大泉毅 高山地点測定局における大気成分(ガス・粒子)、降水成分濃度の特徴 八方尾根局(長野県)および赤城局(群馬県)は標高1000mを超える高山に位置しており、これらの観測データは我が国の大気環境に大きな影響を与える地球大気のグローバルな循環に関わる知見を提供している。環境省が行っている越境大気汚染・酸性雨対策調査、その他両測定局で行っている研究プロジェクトで得られた知見を整理し、高山地点測定局における大気成分(ガス・粒子)、降水成分濃度の特徴について論じる。
Mingqun HuoKen Yamashita,Fang Chen

(霍銘群山下研、陳芳)

Health Risk Assessment of PM2.5 and Ozone Pollution in Pearl River Delta Region of China

(中国珠江デルタ地域におけるPM2.5とオゾン汚染の健康影響リスク評価)

This study estimated the temporal-spatial variation of PM2.5 and Ozone pollution and associated premature mortality in Pearl River Delta region of China using the national monitoring data.

(本研究は、中国の国内モニタリングデータを用いて、中国珠江デルタ地域におけるPM2.5とオゾン汚染の時空間変動と、それに関係づけられる早期死亡を推定した。)

松谷亮 加熱脱離GC/MSを用いた大気中及びPM2.5中の有機成分測定方法の検討 サンプルを直接加熱し、気化した成分を測定する加熱脱離-GC/MS法を用いると、迅速、簡便であると共に、捕集した全量を装置に導入できるため、微量でも検出可能となることが期待される。大気中及びPM2.5中の成分測定について、この方法を検討したところ、多環芳香族炭化水素類(PAHs)やホパン類を概ね良好に測定可能であり、調査へ使用できる可能性が示唆された。
弓場彬江箕浦宏明 PM2.5自動測定機ろ紙を用いたPM2.5中の無機イオン成分分析 PM2.5の発生源を推定するためにマニュアル捕集によるPM2.5成分分析が行われているが、東南アジア地域などでは設備等の問題で実施が難しい。PM2.5自動測定機のテープろ紙を用いて1時間ごとのPM2.5成分濃度変動を得ることを試みた。EANET新潟巻測定局のPM2.5テープろ紙のイオン成分分析を行ない、PM2.5成分自動測定機(ACSA-14)との比較により、1時間値の分析精度の評価を行なった。
二見真理弓場彬江桐山悠佑大泉毅箕浦宏明 EANET湿性・乾性モニタリングにおける分析精度向上にむけた解析 (2報) EANETでは、分析担当機関を対象に分析精度の向上を目的として、模擬降水試料を用いた分析精度調査を実施している。精度管理目標に達しないデータは現状でも多数存在し、いまだ改善の余地がある。本研究では、昨年報告した精度管理目標達成率の調査結果をもとに国外の分析機関を対象に同機関の協力のもとで低濃度試料の分析精度向上にむけた実験的検証を行ったので、その結果を報告する。
佐瀨裕之大泉毅 大気由来のCaやClの陸域生態系での役割 大気由来のCa等の塩基物質は、重要な酸中和物質として期待されてきた。近年、人為由来の排出量は低下傾向にあると考えられ、一部のサイトのデータではnss-Caの沈着量低下も見られる。河川や湖沼へのCa流出との関連性から、今後の大気環境回復期におけるCaの陸域生態系での役割について論じる。また、生態系では反応性に乏しいと 言われるClについても併せて論じる。
庭野元気、諸橋将雪高橋雅昭四柳宏基、松田和秀、中田誠、大泉毅佐瀨裕之 スギ、コナラにおける大気-葉面間のアンモニアの交換と濡れ性との関係 アンモニアは大気-葉面間において、濃度勾配による交換が行われ、双方向のフラックスを示し、水膜を通じたイオン交換は葉面の濡れ性と関係があるとされている。本研究では、大気中のNH3濃度、林内雨中のNH4+濃度、樹木葉アポプラスト中のNH4+濃度と葉面の濡れ性との関係を調査した。樹冠における NH4+の吸収と溶出や、葉面の濡れ性と吸収との関係が確認された。アポプラストとNH3放出に関しては精査中である。
森岡知也、反町篤行、佐瀨裕之、松田和秀 緩和渦集積法による東京郊外の森林におけるアンモニア交換フラックス アンモニア(NH3)は、大気から地表面へと沈着するだけでなく、植物からの放出や土壌からの揮散といった双方向交換性の特徴を有しているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。大気-森林間のNH3双方向交換メカニズムの解明を目的とし、緩和渦集積法(REA法)を用いてNH3交換フラックスの観測を行った。
梅原実玖、反町篤行、佐瀨裕之、松田和秀 緩和渦集積法による長期観測に基づく森林におけるNH3フラックスへの影響因子 反応性窒素の一つであるNH3は、他の反応性窒素と同様に、乾性沈着もしくは湿性沈着によって植生や地表面に沈着するだけでなく、葉の気孔や土壌などからの大気への放出も起こる。森林におけるNH3交換フラックスのメカニズム解明に資するため、緩和渦集積法 (REA法) を用いてNH3フラックスの長期観測を行い、統計的手法である重回帰分析を用いてNH3フラックスへの影響因子を考察した。
加藤悠平、大泉毅佐瀨裕之、中田誠 日本で観測された高分解能降水データが示す酸性雨の動態 国内EANET10地点の18年間(2000-2017)の日降水データについて、酸性度および酸性要因の地点毎の差異、流跡線による発生源寄与の解析を試みた。低pH降水の出現は東京、隠岐等で多く、小笠原、八方尾根等で少なく、また、降水pHは2000年代中盤から上昇傾向にあり、落石岬と八方尾根は2004年以降、竜飛岬、東京等は2008年以降、その傾向が顕著であった。隠岐と東京で観測されたpH3.3の降水は、流跡線から国外及び国内汚染の影響がそれぞれ推測された。
桐山悠祐黒川純一佐藤啓市 アンモニアの排出量データの差異がCTMシミュレーションに与える影響 アンモニアは硫酸塩や硝酸塩といった主要な無機微小粒子の結合化学種となる、非常に重要な物質である。東アジア域を含む排出インベントリにおいて、アンモニアの人為的な排出に関するデータは未だ大きな不確実性を含んでいる。本研究では空間分布における不確実性の改善の第一歩として、複数のアジア域をカバーする排出インベントリを用いたCTMシミュレーションを行い、NH3排出の量及び分布の違いが計算結果に与える影響を検証した。

 

研究者紹介