一般財団法人 日本環境衛生センター

アジア大気汚染研究センター

Asia Center for Air Pollution Research (ACAP)

2021.09.14 研究活動

第62回大気環境学会年会(2021年9月15日(水)~17日(金))において、アジア大気汚染研究センターの研究員が発表

第62回大気環境学会年会(2021年9月15日(水)~17日(金)、オンライン開催) において、アジア大気汚染研究センターの研究員が発表します。発表概要は以下のとおりです。

学会名 第62回大気環境学会年会
開催日 2021年9月15日(水)~17日(金)
開催場所 オンライン開催

 

 

名前 演題 概要
佐藤啓市高橋司霍銘群箕浦宏明松谷亮弓場彬江二見真理桃井拓也桐山悠祐,長谷川真梨子,小竹佑佳,開田有葉,中田誠 日本海側郊外測定局におけるPM2.5成分の長期変動解析 新潟市の郊外測定局において20182021年にPM2.5の季節別集中観測を行った。PM2.5中の無機イオン、有機、金属成分について日平均濃度の季節変動および経年変動の特徴を考察した。更に、レセプターモデルを用いて、日平均濃度の変動を解析することで、二次生成、自動車排ガス、バイオマス燃焼等発生源因子と各因子のPM2.5寄与濃度、長距離越境輸送およびローカル起源等の寄与割合を算出した。
Mingqun Huo, Ken Yamashita, Fang Chen

(霍銘群山下研,陳芳)

Characteristics and Health Risk Assessment of PM2.5 and Ozone Pollution in the Typical Metropolitan regions of China

(中国の典型的な大都市圏におけるPM2.5とオゾン汚染の特性と健康リスク評価)

The aim of this study is to analyze the temporal-spatial variation of PM2.5 and Ozone in representative metropolitan regions including Beijing, Shanghai and Guangzhou in China from 2015 to 2017 to understand the status of regional air pollution and estimate the health effect. The PM2.5 concentrations were highest in Beijing and lowest in Guangzhou. The premature mortality due to PM2.5 was much higher than Ozone among the three cities.

(本研究の目的は、2015年から2017年にかけて、中国の北京、上海、広州を含む代表的な都市圏におけるPM2.5とオゾンの時間的・空間的変化を分析し、地域の大気汚染の状況を把握し、健康への影響を推定することである。PM2.5の濃度は、北京で最も高く、広州で最も低かった。PM2.5による早期死亡は、3都市ともオゾンよりもはるかに高かった。)

松谷亮二見真理,遠藤智美,平野瑞歩,佐々木博行 大気中マイクロプラスチック調査のための基礎的検討 近年、海洋中のマイクロプラスチック(MP)を中心に環境中のMPについての研究が多くなされており、最新の研究では大気中にもMPが存在することがわかってきている。しかし、その調査手法としては統一的なものがなく、精度や信頼性が十分に担保されている状況とはなっていない。そこで、大気中のMPについて、サンプリング法によるMPの観察のしやすさの違いや前処理の効果、誤同定の可能性等について、実験、考察したので報告する。
弓場彬江,高橋克行,柴崎みはる,吉村有史,佐藤啓市 新潟巻におけるPM2.5自動測定機捕集ろ紙を用いたPM2.5成分分析 PM2.5自動測定機で1時間毎に捕集されるテープろ紙上のPM2.5からPM2.5成分の日内変動等、短時間の変動を得ることを試みた。EANET新潟巻測定局で得られたPM2.5自動測定機のテープろ紙のイオン成分分析を行ない、PM2.5成分自動測定機(PX-375)から得られた金属成分と合わせて短時間のPM2.5成分濃度変動について解析した結果を発表した。
二見真理弓場彬江桐山悠祐町田裕史大泉毅佐藤啓市 EANET湿性・乾性モニタリングにおける分析精度向上にむけた解析(3報) EANETでは、分析担当機関を対象に分析精度の向上を目的として、模擬降水試料を用いた調査を実施している。精度管理目標に達しないデータは現状でも多数存在し、その要因を解明することにより、EANETモニタリングデータの分析精度向上につながることが期待される。本発表では、1報(2019年)、2報(2020年)の追加解析として、精度管理調査結果の解析と、分析精度向上のための解析として検量線に使用する標準試料について解析を行った結果を報告する。
佐瀬裕之,庭野元気,諸橋将雪四柳宏基,松田和秀,中田誠,大泉毅 アンモニアの沈着・吸収・放出に関する樹木葉特性 アンモニアは、大気・陸域系を循環している主要な反応性窒素の一つであるが、森林樹冠における沈着・放出プロセスは十分には解明されていない。ガス状・粒子状物質として乾性沈着・イオンとして湿性沈着したアンモニアの一部は、林床に達する前に樹木葉面から吸収される。また、葉内濃度が十分高ければ、葉面から放出される。本研究では、これらの影響因子として、葉面濡れ性や葉内濃度との関係を野外観測に基づき検討した。
四柳宏基諸橋将雪,高橋雅昭,大泉毅,藪崎志穂,陀安一郎,大河内博,佐瀨裕之 日本海側の小集水域における降雨イベント時の硫黄や窒素の河川流出特性 日本海に面した加治川集水域は越境大気汚染の影響を受けてきており、非海塩性硫黄や溶存無機態窒素の沈着量は、近年減少傾向にあるものの、依然として国内でも高いレベルにある。このような中、近年の記録的な大雨により、蓄積した硫黄や窒素成分の流出が加速し、物質循環が乱され、生態系へ影響を及ぼす可能性がある。本研究では、降雨イベント時における渓流水質の変動とその流出過程を明らかにすることを目的として集中観測を行い、硫黄や水の安定同位体分析を活用した解析を行った。
大泉毅,加藤悠平,佐藤啓市佐瀨裕之 酸性物質の濃度と沈着量及び降水量の相関からみた東アジアの酸性沈着の変遷 東アジア地域における酸性物質の湿性沈着をEANETデータから評価した。降水量はマレーシアやフィリピンで多く、中国、日本、マレーシア等の地点は、酸性物質の高濃度と大きな沈着量で特徴づけられた。2000年から2010年代前半には、中国の一部地域で多量の硫酸塩沈着と低pH降水が観察されたが、2010年代後半には減少と上昇に転じた。一方、東南アジアの一部地域では、硝酸塩等の多量沈着が目立ってきた。
黒川純一桐山悠祐 アジア域排出インベントリREASの更新と課題点 アジア域排出インベントリREASv3.2(https://www.nies.go.jp/REAS/)をベースに、2018年まで年次更新を実施し、近年(1990-2018)SO2NOxBC排出量の排出構造、トレンドについて、中国・インド・東南アジアに着目して比較評価を行った。また、REASの今後の開発及び関連プロジェクトとの連携の予定と、それぞれにおける課題点について議論した。
山下研,高野樹,大野周平,朱美華,青正澄 EANETの大気汚染モニタリング結果の環境基準評価と健康影響評価 PM2.5とオゾン等のモニタリング結果を、主にWHOUSEPAの環境基準を用いて健康影響評価を考慮したトレンド分析を行った。オゾンはサイトクライテリア(都市、田園、遠隔)にかかわらず基準を超えているサイトが多い。また経年的には横ばい又は悪化しているサイトが多い。PM2.5については、同様にサイトクライテリアにかかわらず基準を超えているサイトが多い。経年的には2005年から観測開始したサイトが多いので長期的変動は分析が困難である。

 

研究者紹介