アジア大気汚染研究センターは東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)のネットワークセンターに指定されています。
2024年10月、EANETネットワークセンターは、埼玉県環境科学国際センター(CESS)にて、VOCsプロジェクト年次総会およびVOCsモニタリング及び測定のための研修を開催しました。2024年のVOCsプロジェクトは、2023年の第25回政府間会合(IG25)で承認され、日本国環境省の資金援助を受けて実施しています。
年次総会と研修は、CESSと協力して以下の日程で開催されました。
年次総会: 2024年10月22日~23日
VOCsモニタリング及び測定のための研修: 2024年10月21日~25日
年次総会の成果
年次総会は、VOCsアドバイザリーグループメンバー及び本事業を担当・統括する参加国(カンボジア、中国、モンゴル、フィリピン、ベトナム)の主要メンバーを招いて開催されました。年次総会は、これまでの進捗状況を確認し、来年のプロジェクトの詳細な計画(モニタリング方法、場所、時期など)を策定することを目的としました。
年次総会は、CESSでの対面とオンラインの両方で行われました。開会挨拶はCESSの植松光夫総長、ACAPの大原利眞所長、司会はACAPの朱美華企画研修部上席研究員が務めました。各参加国は、2024年のプロジェクト進捗状況、モニタリングおよびそれに関連したキャパシティビルディングの計画を発表しました。特別講演として、韓国の梨花女子大学環境科学工学科のSoo Ran Won博士がオンラインで参加し、“First measurement report for volatile organic compounds characteristics during winter in Ulaanbaatar, Mongolia”と題した研究紹介を行いました。年次総会では、2024年のプロジェクト活動の進捗状況を確認し、2024年の成果を踏まえた2025年の活動計画について議論しました。
2日目の10月23日には、埼玉県にあるジーエルサイエンス株式会社の視察を行いました。ジーエルサイエンスとそのサポートシステム、大気分析機器、関連製品の紹介のあと、ラボの見学と機器(キャニスター型GC-MS、熱脱着型GC-MS、サンプリング関連機器、PFAS用エアサンプラー)の説明が行われました。
研修のハイライト
オンライン研修
本研修は、費用と時間の効率化を図るため、CESSでの実地研修に先立ち、オンライン講義を実施しました。オンライン研修のカリキュラムは、VOCsのバックグラウンド、VOCsモニタリング手法の紹介、VOCsモニタリング事例の紹介の、3つのパートから構成されています。
実地研修
各参加国(カンボジア、モンゴル、フィリピン、ベトナム)のVOCsモニタリング担当者及びラボ担当者5名を研修に参加しました。VOCsアドバイザリーグループメンバー、CESS、ネットワークセンターは、この研修を全面的に支援しました。
初日と2日目は、CESSの佐坂公規大気環境担当部長及び市川有二郎大気環境担当主任が、キャニスターとフローコントローラー、キャニスタークリーナー、フローコントローラーの洗浄と流量調整、キャニスターサンプリング、希釈装置、標準ガスの調製、冷却濃縮装置、GC/MSについて講義と実習を行いました。
10月24日午後から25日午後にかけては、西川計測株式会社より、GC/MSの標準・試料測定(Preconcentrator-GC/MS)、データ解析、日常のメンテナンスについてご講義いただきました。
10月25日午後には、柴田科学株式会社による大気捕集用吸引ポンプやガス捕集管(アクティブ・パッシブ)、ローコストセンサーについての講演が行われました。
閉会式では、主催者を代表してCESSの今井章雄研究所長より修了証が授与されました。
年次総会及び研修について、より詳細な情報はEANETウェブサイト(英語のみ)からご覧いただけます