持続可能な窒素管理セミナー 2025
-EANETにおける窒素データの蓄積-
EANETプロジェクト 2025-04

1. 背景
- 反応性窒素(Nr)、すなわちアンモニア(NH3)や窒素酸化物(NOx)は、人間活動によって生成さます。Nrの環境への過剰な放出は、人間や生態系の健康に重大な脅威をもたらすと考えられます。そのため、持続可能な窒素利用を達成するには、環境へのNr流出を減らすことが必要です(Hayashi et al. 2021 Environmental Pollution)。
- この問題に取り組むため、国連環境総会第5回会合(UNEA 5.2)で採択された「持続可能な窒素管理」決議は、各国に対し、持続可能な窒素管理のための国家行動計画を策定し、2030年以降に窒素廃棄物を大幅に削減するための行動を加速することを促しています。
- 燃料や廃棄物の燃焼によるNOxは、光化学オキシダントやPM2.5の前駆物質であり、人間の健康や陸上生態系に悪影響を及ぼします。農業活動から大気中に放出されるNH3も、PM(NH4NO3、(NH4)2SO4など)の形成に寄与します。大気からの過剰な窒素流入は、陸上生態系や内陸水域に酸性化や富栄養化などの悪影響を与えます(Yamashita et al. 2022, Science of the Total Environment)。したがって、Nr問題は大気環境問題でもあります。
- 東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)は、酸性沈着としても重要なこれらのNr種の大気沈着を継続してモニタリングしています。このように、EANETは、大気から生態系への窒素フローの理解や、持続可能な窒素管理に関する議論に貢献する可能性を持っています。
2. 目的
本セミナーは、EANETコミュニティ内で持続可能な窒素管理に関する共通理解を促進するとともに、EANETデータが世界的な窒素課題への対応にどのように貢献できるか、またこの目標を支援するためにEANETのモニタリング活動のどの側面をより推進すべきかについて議論することを目的とします。
3. 期待される成果
- EANET参加国における廃棄窒素削減のための国家行動計画の検討
- EANETにおける窒素関連モニタリングの改善
- EANETにおける窒素沈着・循環などの状況の定期的評価
4. フライヤー
5. 招待講演者
- 「EANETモニタリングデータを用いた大気窒素沈着の地域評価」
松田和秀教授(東京農工大学、日本) - 「CrIS衛星を用いた韓国におけるアンモニアの時空間分布:現場測定との検証とバイアス補正」
チョイ・ヨンジュ博士(韓国外国語大学、韓国)