一般財団法人 日本環境衛生センター

アジア大気汚染研究センター

Asia Center for Air Pollution Research (ACAP)

2026.07.06 イベント

Air SATREPS、EANET合同研修およびワークショップ開催報告

2026年6月8日から6月12日 カンボジア プノンペン

 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の研究課題「カンボジアにおける大気汚染リスク管理プラットフォームの構築」(Air SATREPS)および東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)の共同実施のもと、2026年6月8日から12日にかけて、カンボジアにおいて合同技術ミッションが実施されました。本プログラムには日本およびカンボジアの専門家が参加し、大気質モニタリング能力の強化と、学術界と政府の連携促進を目的としました。

 本研修は、Air SATREPSおよびアジア大気汚染研究センター(ACAP)により企画され、カンボジア工科大学(ITC)、カンボジア環境省(MOE)、および金沢大学が参加しました。本ミッションは、モニタリング、分析、品質保証に関する実践的能力の向上と、機関間連携の強化を目的としています。

Air SATREPS、カンボジア工科大学、カンボジア環境省、ACAP間での議論の様子

 

ミッション期間中、参加者は講義、実習、技術的議論に取り組みました。ITCでは、湿性および乾性沈着のモニタリング、フィルターパックサンプリング、イオンクロマトグラフィー(IC)分析に関するセッションが実施されました。実習および議論を通じて、実験手法、データ品質、および分析の一貫性の向上が図られました。

PM2.5成分およびフィルターパック法に関する講義と実習

 

本ミッションの主要な構成要素の一つはオゾンモニタリングの能力向上でした。MOEおよびITCでは、オゾン計の校正が実施され、データ信頼性確保のための並行観測が開始されました。これらの活動は技術能力の向上に寄与するとともに、長期モニタリングにおける日常的な保守管理および品質保証の重要性を強調するものでした。

MOEおよびITCにおけるオゾン校正に関する講義および現地研修

 

6月12日には、EANETプロジェクト(2026年6月)およびAir SATREPSのもとで共催された「PM2.5発生源情報に基づく大気汚染政策に関する合同ワークショップ」をもってプログラムは締めくくられました。本ワークショップには地域の専門家が参加し、PM2.5の発生源解析とその政策への応用について知見が共有されました。議論では、技術能力の不足や越境汚染の複雑性といった主要課題が指摘されるとともに、費用対効果が高く科学的根拠に基づくアプローチの必要性が強調されました。

ワークショップのパネルディスカッション

 

 本研修およびワークショップを通じて、大気質管理に関する重要な知見が得られました。PM2.5の主な発生源としては、輸送起源排出、バイオマス燃焼、二次生成エアロゾル、越境汚染が特定されました。参加者からは、化学分析の強化、モニタリングとモデルおよび衛星データの統合、ならびに継続的な長期観測の重要性が指摘されました。

 本ミッションは、ITCとMOEの間での継続的な技術支援、データ共有、および共同モニタリング活動を含む今後の協力について合意し、終了しました。このSATREPSとEANETによる共同の取り組みは、カンボジアにおける持続可能な大気質管理に向けた重要な一歩であり、地域における科学的根拠に基づく環境政策の推進に寄与するものです。